オレ達の日常=SIDE Y=

58

今日は本当にトールに心から求められていると感じる。
俺が強要して始まったはずなのに、トールは心から俺を求めてくれている。
貪るような情熱的な野性味溢れたくちづけに涙さえ出てきそうになってくる。
半年前、卑怯な手でトールの体をモノにしたことも、ひとつも責めずに俺を好きだと返してくれた。殺されることも覚悟していたというのに。
口づけに満足したのか、トールは俺の肩に頭を乗せてぎゅっとしがみついてくる。
「……トール……、いつも俺に突っ込まれてて、さ……不満とかねえの?」
ごわごわしている銀色の髪に触れる。
堅くて刺さりそうな針みたいな髪だ。
「……ン?別に……きもちいいぜ」
顔を上げた表情は俺の質問を半分も理解していない顔である。
「……いや…俺に突っ込みたいとか、そういうのねえのかなって」
俺が最初に強姦したのだが、本来下で満足する性質の男ではないはずだ。
性欲はそんなになかったのだが……。
「ンーー、俺の、ホラ、こんなにでけえしなァ。ヤスのケツ壊れそうだし、体力もさ……俺のが頑丈だからさ」
さらっと何のことでもないように答える俺に対する気遣いに涙が出そうになる。
確かに、俺の二倍の大きさの一物で突かれたらぶっ壊れるだろう。
「……まあ、それに……俺……さ」
トールはちょっと言いにくそうに言葉に言いよどむ。
珍しいなと思って顔を覗き込むと、ぐっと抱き込まれる。
「ヤりすぎて、オマエが俺を心配する顔が見たい」
それが本題とばかりに言われて、ちょっと意味が分からなくなってくる。
「……オマエに心配されるの……すげえクルからさ」
トールもよくわからないフェチズムがあるようだ。
俺に心配されるのがスキとか、ちょっとよく分からない。
「だからって、喧嘩とか無茶とかすんなよ……」
「もう。しねえよ……喧嘩以外でも、ヤスが心配してくれっし」
甘えるように鼻をすりつけてくる様は本当に獣に懐かれているようで可愛いくて仕方がない。
「……今日はさ、すげえトールから求めてくれたの、メチャクチャ嬉しかった……」
「オマエが焦らすから……、今日はメシの時からセックスしたかった」
トールの肌が急に熱くなる。照れているのだろうか、ちらっと見える首筋が赤く染まっている。
「トールに……求められるのすげえ嬉しい」
半年前は拒絶されることしか考えていなかった。
セックスしたいと思ってくれるようになるなんて、考えもしなかった。
「ヤス……。オマエはどう思ってるかわかんねえけどよ、俺だって性欲はあるし、好きなやつとしてえなって思うし、我慢できねえ時はオナニーだってすんよ。いつだって、オマエのことは欲しいって思ってる。普段は、まあ……そういうこたいえねえけどよ」
ぎゅうっと抱きしめられて熱く言葉を告げられると、たまらなくなる。
クリスマスだからだろうか、欲していたものを全部これでもかというくらい大盤振る舞いしてくるトールが愛しくて仕方がない。
「……俺が欲しくてオナニーするのか……。見せて」
どうやら、今日の俺は欲張りみたいだ。
抱きしめたトールの体が熱をもってくる。
とくとくと胸元から聞こえる鼓動も、速度を増してきている。
「…ンなの…見てどうすんだ……。前にも…シたろ?」
低い声。
きっと、いつも以上に照れている。強張った声音もそれを必死で隠しているのだ。
「もっとトールに……求められたい」
耳元で囁くと、トールは掌で顔を覆って俺の体から名残惜しそうに腕を解く。

「……出来ることなら……四六時中、……オマエが欲しいぜ、ヤス」

体を起こしてベッドヘッドに背を凭れ、トールは俺に晒すように、既に汚れた下肢を開いた。
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