オレ達の日常
57
クリスマスを迎えたと同時に抱きしめたヤスの体は、まだ沸騰しそうに熱くて汗ばんでいた。
脳みそが真っ白になるくらいの快感から、漸く浮遊するような心地に戻り、俺はしがみつくようにその体を抱きこんだ。
体が欲しがるって言うのはこういうことなんだなと、実感する。
恋とか愛とか、自分でもはっきりよくわからねえけど、コイツを本当に体ごと俺のものにしたいと、心から願った。
達成された充足感はいつもの比じゃない。
「メリークリスマス……トール、大丈夫?」
覗き込んでくる顔は俺が気に入っている綺麗な顔を少し曇らせた心配げな顔。
俺は、ヤスのこの顔がずっと好きだなと思い、手を伸ばして指先で輪郭をたどる。
「……ン……キモチ……ヨ、すぎて……まだ…アタマ、ぶっとんでる……」
ヤスのアタマの裏に回した、いつもより力が入らない手でくしゃくしゃと綺麗な栗色の髪をかき回す。
全身がまだ痺れているみたいで、吐息もまだ熱が収まらない。
「いつもより、エッチな顔してる……」
「……かもな………。オトナになったら、サンタさんこねえ、理由がわかったぜ」
ぼそっと俺が呟くと、ヤスは一瞬唖然とした表情を浮かべ、ちょっと噴出すと俺の鼻に唇を押し当てる。
「理由って……ナニ?」
「……こんな日に煙突から入ったら……流石に、セックスの邪魔になるだろ」
ヤスは俺の答えを予想していたようで、可笑しそうに腹を抱えて笑い、俺の背中に腕を回してくる。
「別に入ってきても、俺は見せてやるけどね」
いたずらっぽい表情で俺に挑むような目を向けてくる。
「……ホント……ヘンタイだよな……」
「トールだって、見られた方がいつもより感じるだろ?」
耳元で吐息を吹きかけるように囁かれて、俺はヤスの髪をぐっと引っ張る。
「そんなこたねえよ……今日のが一番感じた」
「クリスマスだから?まさかのイベント好き?」
意外そうな表情で言われて、俺は天井に目を向ける。
クリスマスだから、感じたのか?
いや……違うな。
俺は、プレゼントをあげたときのヤスの涙に可愛いと思った。
そこからは、欲情してずっとヤリてえなと思っていた。
それで、エレベーターでキスだけで達するほど欲情はたかまりすぎていた。
「なんか……オマエが可愛いかったから……だ」
ヤスは、俺の言葉にちょっと驚いた表情を浮かべて暫く押し黙ると、俺の背中をゆっくりと撫でる。
「……トールは、ホントすげえよ。ガキの頃からブレねえもんなあ……。ガキの頃から、他のヤツに可愛いとか言われるの、すげえむかついたけど、トールにだけは、俺はそういわれるのいやじゃなかったし」
「……今でも、オマエが一番可愛いぞ」
我慢ができなくなって、唇に吸い付き舌先でヤスの唇をこじあける。
今日は俺は我慢ができないみたいだ。
クリスマスっていうのも手伝っているのか、ヤスの唇を貪りつくした。
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