オレ達の日常=SIDE H=

13

抜かず5回とか、前に長谷川は言っていたけど本当だったんだな。
日高は時間になるまで、長谷川が気を失っているのにもかかわらず、犯し続けていた。
予備校の時間に間に合わなくなったのか漸く長谷川を解放して、慌てて出ていった。
長谷川は体を汚したまま、ぐったりとベットに沈んでいる。
ヤリ捨てみたいなことをされて、それでもいいのだろうか。
気持ちよさそうに咽び啼いていた長谷川は、本当に淫乱でセクシーではあった。

「……う……っ……」
瞼を重そうに開いて、ぼんやりとした表情で長谷川は俺を見た。
「大丈夫か?」
「……あ、あァ。…ヤスはヨビコー行ったの……か?」
額を押さえて、かすれきった声で問われて、俺はなんと言っていいのかわからず、ためらいながら頷いた。

そりゃあ、セックス終えてすぐに先に帰られたらショックだと思うし。
「そっか」
予想に反してまったく寂しそうな顔すらせず、長谷川はパサパサの髪を掻きつつむっくりと起き上がる。
何を考えているのかまったく読めない。
俺に見られたことを恥ずかしがっているようでもない。

「長谷川、水飲む?」
冷蔵庫からミネラルウォーターを出して手渡すと、一瞬驚いた表情を浮かべ、長谷川は笑ってアリガトウと受け取った。
喉を鳴らして長谷川はペットボトルを一気に流し込み、ふうっと息をついて俺を見返した。
ボトルをもてあそびながら、長谷川は俺の反応を見るような表情を浮かべ、

「びっくりしたろ……ヤスは昔っからSM好きでよォ、借りてくるAVがそんなンばっかだったからな」
「長谷川もそうなのか?」
日高の意外な趣味に驚きつつ、思わず長谷川に聞き返してしまう。
「俺?ンなわけねえでしょ。アイツに合わせてンだよ。」
噴出しながら面白がるように笑う。
いつもよりくだけた感じではあるが、さっきまであんなによがっていた男とは思えない。
分かっていても、この鋭い目でにらまれたら身が竦むだろう。

「幼馴染だっけ」
「ああ、幼稚園時からずっと一緒だな。アイツが俺と一緒にいなかった時期はねえな」
「長谷川は抵抗ないのか?……突っ込まれることに。逆でもいいんじゃないかと思うんだけど」
ずっと思っていた疑問をなげかける。
長谷川は、ちょっと考え込みつつやっぱそこだよなーと呟く。
「まあ、俺のが丈夫だし、アイツだからイイかな。別のヤツとやるのは吐き気がした」
「やったことあるのか」
「あー、ちっとトラぶって輪姦わされた」

なんてことのないような調子で言う長谷川は多分普通のやつらとは配線がずれまくっている。
ずれすぎているから、周りの人間と相容れないのかもしれない。
「日高は?」
「知ってるよ。でも、ソレ受け入れてくれたからな」
隠したりはできなそうだし、する気もないのであろう。
受け入れる日高もすごいが。
「そっか…」

「ヤスは結構、俺の意図を汲んでくれる。今日だって、実際にヤりたかったのは俺だしな」
「え……」
嫌がる長谷川を無理矢理って感じにみえていたが、長谷川にとっては違うようだった。
長谷川はふっと笑って自分の体を見下ろす。
「あいつは多分時間ねえのに、無理してくれたんだ。見て分かったと思うけど、俺はインランなんだよ。ヒガシもつきあわせて悪かったな」
だから、日高が今いなくてもまったく平気で、落胆もしていないのだろう。

「俺は、興味あったから……」
「こんな強面の俺がどんな顔してヤられてるのかって?」
くっくっと肩を揺らして笑う長谷川に、凶悪といわれているヤンキーの面影はない。
「まあね。長谷川はセクシーだったよ。日高が夢中になるのも分かるな」
思わずほめ言葉にならないであろう言葉を告げると、長谷川はにやっと笑った。
「ぶっ、ヒガシ。俺ンこた東流でイイぜ。さあって、体洗って帰るかな」
長谷川は腰をあげて、綺麗な筋肉をつけた汚れたからだを惜しげもなく俺に見せつけながら、浴室へと消えた。
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