オレ達の日常※sideY
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エンジンをかける東流の腰に抱きつき、風を切るバイクに身を任せた。
豪快だけど安定感のある東流のバイク走行でのタンデムは、俺の気に入りだった。
ぐっと少し腰を抱く腕に力をこめる。
そうだ、これから東流と身体を重ねるんだ。そう考えると、身体が緊張感で僅かに震えた。
平日の昼間はホテルの受付も暇そうで、男同士なのも気にもならないような態度で鍵を渡された。
俺は東流に腕をひかれるまま、ラブホテルの部屋へと入った。
「……なァ……ヤス……」
部屋に入ると東流は、少し迷うようにライダージャケットを脱ぎながら、俺を振り返ってベッドの前で立ち止まる。
「なに?」
靴を脱いで部屋の中に入ると、装飾が凝った部屋のつくりを確認して、東流の方へと歩みよる。
「ヤスはさ、忘れてんだよな?…………俺とセックスしてたこと」
相変わらず逞しい体つきで、シャツ一枚になると筋肉がくっきり浮いて見える。
勘のよくない東流にも俺の気持ちはわかっているようだ。
「ああ……正直、俺は東流とどうやってやってたのかも、わからない」
俺は、東流を抱きたいと思っているけど、そんなこと言ってもひかねーだろうか。
見た目的にはどう考えても、俺が東流を抱くなんて考えられない。
東流はシャツを脱ごうとして、躊躇うように手を止めて俺の真意を問うような目をむける。
「どうしたい?正直に言ってみろ」
なんでそんなことを、聞くのか?
俺は眉を寄せて東流の真意を問うように見返す。
どことなく躊躇うような表情をして、ベッドの上に座って、東流は歩み寄る俺に腕を伸ばし、ぐいっと腰を抱き寄せる。
東流に抱かれているんだと思ってたが、多分そうじゃない。
そうだったら、有無を言わさず東流は俺を押し倒しているはずだ。それが、いつものことなら迷いはしないだろう。
そうしないということは、きっと、俺は自分の欲望をトールに伝えていたはずだ。
「………トールを犯したい」
迷いながら口にすると、俺を見上げた東流は驚きもせず眉を軽くあげて口元を緩めた。
「イーヨ、ヤス…………こい」
やっぱりだ。
俺は自分の欲望を伝え、東流はそれを受け入れてくれていた。
誘うようにシャツのボタンを外してみせる東流に、俺の中の何かがぱちんと外れる。
これは、俺のモノなんだ。
夢にまで見ていた、東流を抱きたいと、こころから。
脱ぎかけていたシャツを引き剥がすように捲ると、乳首にキラキラ輝くピアスが見える。
乳首ピアスとか、マニアックでいやらしすぎる。これを開けるくらいの開発を俺は東流にしていたのか。
ガブリと首筋に噛み付くとひくんと肌が震えて、東流の鋭い目がすっと細められる。
馬蹄状のピアスを動かすと、乳首がぴんと尖って東流の唇から熱っぽい濡れた息が微かに漏れる。
「…………やらしい……トール、噛まれて感じてるの?」
ピアスの馬蹄に装飾と小さくYHと俺のイニシャルが刻んである。
俺のモノだという……証。
そう思うと途端に下半身が熱をもってくる。
耳たぶを唇に挟んで舌先を差し込むと、腹筋が動いて小さく痙攣している。
目元が少し赤らんで熱を孕んで、俺にひどく欲情しているのが分かる。
「く、そ…………じれってえ……我慢できねえ……ヤス…」
東流が焦れてもぞもぞしだすのが、可愛いなと思いながらパンツを下着ごと引っこ抜くと既に大きくペニスを腫れさせて我慢汁でぬれそぼっている。
ペニスの先端には乳首と同じ馬蹄のピアスが嵌っていて、少し皮がひきつれている。
ちんこを勃起させればさせるほど痛みを与えるシステムってわけだ。
なんて鬼畜だな………って、でもこれは、俺がやったのだろう。
「ちんこにまでピアス刺さってるし。ぐっちゃぐちゃに濡れてて、トールすげえな……、これって俺が開発しちゃったの?」
指で濡れた欲望をゆっくりたどると、東流はこくりと頷いて堪らないように腰を少し浮かせた。
興奮と欲望への熱で、俺はひどくうかされいた。違和感を感じたが、それが何なのか、その時の俺は気が付かないほど、目の前の東流に夢中になっていた。
「トール、脚、ひらいて?俺に、見せて」
脚の隙間に隠された奥の様子が知りたくて、太股を軽く叩くと、東流は緩慢な動作で素直に脚を広げ、俺の目の前に秘部をあますことなく曝け出す。
充血して既にひくついている穴は、少し捲れていて口を開いていて、もう中に欲しがっているように見える。
「ここに、指、…………入れていいよな?」
答えを聞かずに、ビシャビシャに零れる先走りを指に絡める。
そっと傷つけないように、ひとさし指を中に差し込むと、きゅうっと内部が狭ばまって、指をくわえて内側がら痙攣する。
「あ、く……っふ……や、す、ン、…………ッ……ッン、、ン」
たったそれだけで、東流は蕩けた表情を浮かべ俺を見上げると、俺の指をのみこみたいとばかりに、ゆらゆら腰を揺らし始める。
「すげえ、淫乱なんだな……、指だけでちんこびしゃびしゃにして…………中もよろこんでるね」
加虐心を煽られて耳元で囁くと、かっと胎内が熱くなって、目を見開いた東流は体を震わせ、びゅくびゅくっと腹部にザーメンを飛ばす。
目はすっかりとろんとして、普段の鋭さはまったくなく頷いて、酔ったような表情で俺を誘うように見上げて腰を浮かせる。
「く………ァ……ハァ、や………す………っやす…っ、もっ、と………なか…っ……つっ、こんでくれッ」
淫らに濡れた唇から、まるで足りないとねだる掠れた声に煽られる。
二本目の指を挿し込み、ごぷごぷと中をかき回しながら、ペニスの先端のピアスをゴリゴリと弄ると悲鳴のような声をあげながら、顔をくしゃくしゃなにして咽び泣く。
「ッひァ、…………アアアア、…………くッあ、アア…うううァアアア、、、アア――ッ」
指をずるっと引き抜いて、玉袋を指で転がすようにいじりながら、ぱくぱく開いて中にほしがるアナルを眺めて、
「なあ、トール。ここに俺のちんこ、入れてもいいの?」
「……ッ……う、や、す…………ほしい、ほし……っやすの……………ちんこ…はや、くいれ、て……ッ」
問いかけに、ヤラシイ言葉で俺を求める東流に興奮しながら俺は衣服を脱いで、ぐっと胎内へとゆっくりペニスを収めていく。
東流と、つながる。
何度も何度も…………夢にみた。
これも、夢か?
暖かい内部は俺を包み込み、中まで強く締め付けられ、東流は狂ったように腰を蠢かせて奥へといざなう。
背を反らし俺をぎゅうぎゅうと締め付けて、全身で受け入れてくれる。
「は…………ッひ、ああ……ッやす、……ッひい………っひはぁ…ァア……ッひ」
オンナのようにぐぷぐぷと奥を貫かれ、涎を垂らしながら淫らに啼きみだれる姿は、こころから俺のメスだと思えた。
どくどくと胎内へと欲を叩きつけて注ぎこみ、グッと強く抱きしめると、腰に腕がかかり更に奥まで深く繋がる。
ほしくてほしくて仕方がなかった。
ずっとほしかったんだ………。
ぐったりと意識を失った東流を、5回目でようやく俺は手放して息を吐き出す。
ひとつ、判明したことがある。
あの日俺の体は誰かに抱かれた痕と、手首と足首に拘束のあとがあった。
東流のペニスには、ピアスが刺さっていて最近嵌めなおしたような兆候はなかった。
じゃあ、俺は…………誰に抱かれた………?
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