オレ達の日常
43
元々性欲なんてないもんだと思ってきた。
なのに、本当に今はヤりたくて仕方がねェ。
オンナと付き合ったのもナズだけだったし、顔を眺めていたいだけで、セックスしてえとかいう気持ちにも殆どならなかった。
ヤスが観せてくれるAVを見ても抜こうとも思わなかったし、だからと言って不能ではなかったから適当に夜抜いたりはしていた。
だと、言うのに、なんだろう。体が熱くて仕方が無い。
部屋に戻ってきて、俺はヤスの腰に手をかけようと伸ばすと、ひょいっと払われて掴みなおされ寝室へと腕を引かれる。
「ざんざ煽るトールが悪いんだからな」
部屋の電気をつけて、俺の腕を離すとごそごそとベッドの下からレジャーシートを取り出して、ばっさばっさとベッドを包むように敷きはじめる。
「……何してんだ?」
首を捻ってといかけると、振り返ったヤスは珍しくも余裕がなさそうな表情を浮かべて俺を見上げる。
「滅茶苦茶にして……いいんだよな」
「ああ……いいけどよ。つか、バラバラとか猟奇殺人とかはやめとけよ」
ビニールシートなんて敷いたりするとか、血みどろとかしか思い浮かばないんだが。
ちょっとぞくりとして腰が引け気味になってしまう。
「……いくらなんでも、そこまで変態にはまだなってないよ」
まだ とかいう言葉が気になったが、怖いので気にしねえことにしよう。
「オシオキはイヤだからな。キモチいいことしかしたくねえよ」
俺はジャケットを脱ぐと、ハンガーにかけてヤスの横に立って、腕を掴む。
「気持ちよくさせられるように頑張る……、フィストしていい?」
ヤスの言葉に俺は首を捻った。
聞き覚えのねえ単語が出てきた。
「しなねえなら……何でもいいぜ?つうか、何、それ」
「後で教えるから、脱いで裸になって」
俺が知らないことに安堵した表情をするヤスをいぶかみながら、シャツを脱ぎズボンを下着ごと降ろすと、ちょっと冷たいビニールシートの上に腰を下ろした。
「トールの腕も脚も長くて、筋肉がついてて凄い綺麗。ベッドの真ん中までずれて、脚拡げてくれる」
優しい眼差しに見下ろされ、体は更に熱くなり自分だけまっぱだかという状況もあいまって、体温がどんどん上昇していく。
真ん中までいくと、膝をたてて脚を横に拡げて見せる。
もう期待しまくっているのか、ぐんと真ん中でペニスは屹立して、鈴口からがじっとりと湿ってきている。
「ヤス、ふぃすとってナニ?」
後でと言った表情が気になって聞いてみるが、ヤスは教える気はないらしく、前に使った媚薬入りのローションのボトルを手にして、ベッドの上にあがってくる。
「ヤりながら教えるよ、大丈夫。トールがおかしくなるくらい滅茶苦茶にしてあげる」
ローションを手にだばだばとかけて、ゆっくりと俺のアナルに指を這わせぬぷっと押し込む。
「ン…ッ……ハァ…、ヤス……弱気とか見せて……心配かけた……」
「……トールの弱気は滅多にみれないから、たまにはいいよ。でも、離れるとかは二度と言わせない」
いつもよりゆっくりな動きで、指がぐるぐると胎内で左右に蠢く。
括約筋を解すようにその周りを広げるようにひっぱられる。
ぽたっぽたとカウパーが垂れ落ちて、腰を自然に浮かせて揺らしてしまう。
さきっぽに刺さったピアスが濡れて、しずくを落としていく。
二本目を入れて、横に広げた隙間にボトルから直接ローションを注がれる。
「…ァ、ッ、、、ああ……ッヤス……もっと…奥に…ッくれ」
浅いところばかり、執拗にぐちゅぐちゅっとかき回され、まったく奥を擦ってくれない指に焦れて、俺は腰を捩ってねだる。
それでも、ヤスの指先はまったく奥まで入り込まず、内側を開くように指で押して伸ばしたりを繰り返す。
媚薬で熱をもった箇所をまったくいじることもせずに、ひたすら指は浅い箇所と入り口ばかりをこね回す。
もう片方の手で、乳首のピアスをひっぱりながらごろごろと転がされ、背筋を通り抜けるようなビリビリとした電流のような刺激に背中を反らし、
「……イ…っああ…ッ……ァア…イク」
俺は腹部に白い粘液を撒き散らす。
「早いね……淫乱。おっぱいだけでイけちゃった?」
ヤスは喉で笑い、冷たい目で見下ろして快感に開閉を繰り返すアナルの淵を指で大きく広げて、手にした瓶をぐぷぷぷっと俺の中に押し込んでいく。
「ッひい…ああああッ…あああッあああ」
「もう、こんなエロイ体なのに、俺から離れられると思ってるの?」
耳元で囁きながら腰の裏に腕をあててゆっくりと瓶の中身を俺の中に注ぐ。
「イッああ…あああッ……あつい…や、あ…ッアア――」
ずぽっと瓶を引き抜いて、ぬるぬるに濡れた指を四本押し込めていく。
「トール、俺のこの腕を、トールの奥まで挿れてあげる」
圧倒的な圧迫感に脳みそがおかしくなる。
内股が痙攣して、押し込まれる感覚に背筋を何度も反らせて腕でシートを掴んで逃げをうちたくなる体を抑える。
「グ…ッアアアアアアアア…ヒィ…っつあああ」
ゆっくり俺の体の様子を見ながら拡げられていく感覚に、俺は腰をあげて精液を放った。
人間追い詰められると、欲情が増すという説は本当なのか。
「……ッひ…ぁあ…ああう…ううう……ううう」
「トール……動かすよ……」
ヤスは俺の腹の中で、拳を握ったのか、動くたびに内臓を殴られているような感覚に悲鳴しかあげられない。
涙腺も壊れてしまったようにだばだばと溢れて、膀胱も圧迫されたのか、じょろじょろっと温かい液体が漏れ出てくるのを感じる。
「ッアア――ッああああッひい…ッ」
内部から蹂躙される感覚が、段々とぞくぞくとした快感に摩り替わっていく。
「腕でも感じちゃってるね。淫乱で…たまんねえよ。トール」
囁かれる言葉も遠くなってくる。
脳みそがぐるぐるして、腰を振って動きに答える。
おかしく……なる……ヤス……たすけて…。
俺は必死に腕を伸ばして、ヤスの背中を掴んですがりついた。
俺がすがりつけるのは……オマエだけだ。
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