オレ達の日常

119※sideY

推薦の合格発表は他のと比べて少しだけ早い。

東流が午前中は実技教習終わって、帰ってからバイクで発表につれていってくれるらしい。
電子なんとかで一応先に知らせはくるのだが、やっぱり実際に掲示板で見てみたほうがいいだろと、東流は提案してくれた。

ひとりで俺には行動はさせないようにと、東流の行動は徹底している。
まあ、買い物とかは誠士もしてくれるし、生活には不便はないんだけど、なんだか監禁されてる気分になる。
監禁はどっちかといえば、されるよりもしたい方なんだけどな。
なかなか、いろいろ東流から聞いてもまったく思い出せないことが多いけど、ふとしたことにデジャブのようなことが起こるのは良くある。

「たでえま、ヤス!をい、合格見にいくぞ!」

低く響く東流の張り声に、俺は肩掛けバックを手にして玄関へ向かう。
落ちることは考えていないセリフに、思わず俺は少し笑う。なんでこいつはいつも自分のこと以外にも、こんなに自信にあふれてんだろうか。

「トール、用意はできてるけど、オマエは飯は食わないで大丈夫?」

「大丈夫だ。待っててくれてアリガトな。来週には卒検通るし、後で中型も大型もとりにいくけどさ」
そしたら、卒業までにドライブしようぜ、ヤスの車で。と、言われて俺は頷く。

「本試験は大丈夫か?」

「教材、丸暗記してけばなんとかいけるだろ」

東流の暗記力は、かなり良いのは知っている。
喧嘩のとき並んでいるバイクのナンバーは5分程度で全部覚えるくらいだ。
考える系の問題じゃなければ、東流はある程度点数はとれる。
靴を履き部屋の鍵を閉めると、東流の背中について階段を降りていく。
メットを渡されて、階下からひょいっと見上げられる。

「あー。合格祝、何がいい?」

細めた目で笑われて、かわいすぎて今すぐにでも抱きしめたい衝動にかられる。
「駅前のエロイホテルにいきたいな」
駅前のコンセプトホテルで、SM部屋とかあるところに前からいってみたいと思っていた。

ブハッと東流は腹を抱えてしばらく笑い、ちょっと半笑いのままイイゼと言って頷いた。


すでに発表板の前は人がらまばらになっている。もう発表から時間たっているし、もともと推薦入試なので、一般よりは人が少ない。
俺の番号は、探す手間もなくすぐにさっくりと見つかった。
家からバイクで、20分程度の通いやすい公立だ。
東流となるだけ離れたくないと考えて決めたのでだろう。

「うおー、ヤス!!合格オメデトー!!」

東流は番号を見つけて、俺より激しく浮かれて俺の腰をもって姫抱きに持ち上げて、ひょいっと上に投げる。

て、やめろー!!

しっかりキャッチされて、もう一度投げようとするあわてて腕をとめる。

「ひとりで胴上げとか、しねーでいいし!」

「そか?よくテレビでやってるからよ!」
嬉しそうな笑顔にそれ以上文句は言えず、抱き上げられて恥ずかしくて、とんと胸を叩いてもそもそ腕から這い出る。

「おめでとうな!かーちゃんに報告にいって、昼飯食いにいくか。夜はホテルにデートいくぞ」

「アリガトな。俺も親に報告するよ」

俺は携帯を手にして、父親と母親のメールに合格を報告した。





Copyright 2005- (c) 2018 SATOSHI IKEDA All rights reserved.

-Powered by 小説HTMLの小人さん-