オレ達の日常※sideY
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トサッと俺をベッドの上に下ろすと、東流は俺のシャツに手をかけて、唇をやんわりと落として吸い上げながら、するっとシャツを剥がしてしまう。
こないだは、俺にさんざん喘がされて啼かされていたというのに、手つきに迷いはない。
そのままスエットに手をかけて下ろして、俺を裸にしてしまう。
抱きしめる腕は、力強くて躊躇うこともなく俺の性感帯を指先で探る。
唇が離れて、首筋に舌を柔らかく這わせて体に熱をもたせる。
あの時俺に抱かれて激しく乱れたのも、実は演技なんじゃないかという疑いを持ってしまうくらい、なんだか余裕をもった優しい手つきで、東流は俺の肌をたどって顔を覗き込んでくる。
「…………ヤス、キモチいい?」
掠れた低音のハスキーボイスが耳をくすぐって、思わず頷いて吐息を漏らす。すると、耳たぶを噛まれて指先がペニスへと絡まりくちくちとゆっくりと上下に動かされる。
「トール、慣れてる……」
「んァ?…………オマエがいつも俺にしてることだろ?」
鈴口あたりを執拗に親指で擦られると、呼吸が徐々にあがっていき、脳みそが痺れてくる。
熱い唇が舐めて溶かすように首筋をたどり、東流の鋭い瞳が心地よさそうに細められる。
まるで壊れ物を扱うような動きに、たまらなくじれったくなる。
いつの間にか手にしていたローションを傾けて、手のひらにたらし、濡れた指先がするっとアナルの淵を撫でて、くちゅくちゅと音をたてて浅く出し入れされる。
「ふ、くッ……も、……ッ…………いっから……ッ」
東流の指だと思うだけで、心臓がバクバクと鼓動をたてて、それだけでおかしくなってしまいそうだ。
好きな人に触れられるってことはそういうことなのかもしれない。
「バカいえ、俺の、すげえでけえぞ。ちゃんと拡げとかないとと、オマエのぶっ壊れちまうからよ」
をい、自慢か?
ふんぞり返っていつもの調子でいう東流の言葉に、思わず突っ込みたくなるが、そんな余裕はない。
ぐずぐずになってきている思考回路を、なんとかたてなおそうとする。
よっこらせと東流は、体を起こすと俺の脚を抱え込んで、尻の隙間に唇を下ろす。
ちょ、ちょっと待て……。何する気、だよ。
「ッハァ………トール…まって………っハァ」
「ん?大丈夫だ、心配すんなって、痛ぇことはしねえから」
何が大丈夫なのか、まったくよくわかんねえし。
焦りまくっている俺とは裏腹に、東流の形のいい唇はアナルの上に降りて、くちゅっと唇を押し付け舌先をぬくぬくと指の代わりに差し込んでくる。
「……ひッ…く………や、や…ッ……、…………トール…ッ」
それは、恥ずかしすぎるだろ。
熱した唾液を注がれながらくちくちと舌で内部を広げられて、先走りが腹部を濡らしていく。
「……恥ずかしいンか?…………でも、キモチいいべ?」
にっと無邪気に尻の上で笑うトールは、マジで可愛いんだか、悪魔なのか……。
舌のざらざらした箇所が内側を刺激して、俺のアナルは充血してくぱくぱと東流の舌を食んでいく。
「く、うう…はぁ、ああ…ううう………あ、と、ーる…っつ……あ、あつい……ッあ、あは、あ」
熱に浮かされたように、俺の唇は次第に呂律が回らなくなっていく。
「あ、あああ、いく…ッ、、いくう」
くちゅっと指が舌と一緒に埋められて、前立腺あたりをごりごり擦られると、俺は脚を開いたまま痙攣してびゅくっと精子を吐き出す。
「ヤス、すげえエロイ顔……してる、もっと俺に見せて……」
三本の指がバラバラと動いつて、俺を追い詰めるようにくぷくぷうごめいて、東流に腰を突き出す体勢で腕を伸ばす。
「あ、、ああああ、トール…と、おる……う……ッ」
この男が欲しいと全身が叫んでいる。
全部ものにしたいと、こころから。
大事な記憶と引き換えに、忘れたかった記憶なんて思い出す必要なんかない。
全部、東流が埋めてくれるっていうんだ。
だったら、問題ねえだろ?
「あー、くそ、限界、俺もちんこいてえよ……」
伸ばした腕を引いて自分の肩にかけさせて、指を引き抜くと東流は勃起したペニスに触れて、ピンとピアスを外すとベッドヘッドにおくと、一気にそれを俺の中へ埋没させた。
ずるっと体の中心まで貫かれて、ぐぐっと割り開かれ圧迫する異物感に、呼吸が止まりそうになる。
…………ッデカ、すぎ………んだろ。
東流は、俺の体をぐっと抱き寄せたまま、慣れるのを待っているのか体を動かさずに、背中を大きな掌でゆっくりとさすってくれている。
優しすぎて、泣きそうになる。
「……ふ…っく………ッハァ…ハァ………っああ……っ」
「つらく、ねえか?………ヤスん中……あったけえな」
耳元で低く囁かれると、カッと全身が熱くなってぶるりと全身が震える。
口下手な東流のことだから、言葉攻めなんかはしないだろうから、これはただの本心だろう。
ぶつけてくるのは己の体のみ。
体が裂けちまいそうにめりめり軋んでいるのに、充足しているような感覚に、俺はゆっくりゆるく腰を捩る。
俺と東流のつなぎ目を優しく指でたどって、東流は首筋をぺろぺろと犬のように舐めている。
この男に、全身を溶かされてしまいそうだ。
俺は今どんな顔で、東流をみているのだろう。
ぎっしりと詰まって脈打つ形が、からだの内部なのに充分知覚できる。
東流は、ぐっと俺の脚を掴むと、自分の肩にかけてゆっくり体を入れかえて担ぎ上げる。
自分の体重で奥まで銜えこまされて、辛さに涙がにじむ。
「キモチよくねえか?まだ…………いてえか?」
俺の表情を見て、東流は鈴口を摘んで捏ねまわし始め、あまりの快感に俺はゆらゆら腰を揺らしはじめてしまう。
「、、、っ、な、とーる、ああ…うう…っく…く……は、うううう……ンンンンっ」
俺の声が嬌声に変わり始めると、東流は安心したようにぐっと腰を入れて、俺の弱い箇所を追い込むように貫き始める。
技量とかそういうのではない、力技の優しい動きに徐々に俺の体は蕩け始める。
「ひ、ううう…あああ…ああああ…っくうう…………ンン」
東流の顔は、まるで獣が捕食するような表情に変化して、俺の首を軽く噛みながら内部を容赦なくぐぷぐぷと抉り始める。
びしゃびしゃと水っぽい精液が吹き上がるが、東流はもう体を止めようとせずにどんどんと追い詰める。
熱量がハンパなく体を蕩けさせ、脳みそも沸騰しそうだ。
体が一体化するような、ぐちゃぐちゃになってくような感覚にすっとびそうになる。
「ヤス……可愛い…っ、ヤス…っ、、、……イクッ!!」
耳元で囁かれる言葉も熱っぽくてたまらない。
どくどくっと胎内へ放たれる東流の欲望を感じながら、俺も全身を痙攣させて粘液を放つ。
間髪をおかずに東流の指先が俺のペニスを擦り、ビシャッビシャッと潮を噴き上げてしまうのを感じる。
快感でおかしくなる。
「と、る…っあああ……ああ、ああ……あああ」
ずるっと内部から東流が出て行くとぎゅっと抱きしめられる。
精液は止まっていない。
感じすぎて、体がバカになっちまってる。
「ヤス、すっげえ可愛い……」
可愛いのは東流の方なんだけどな。
言いたい言葉もいえずにもどかしさに、震える腕を伸ばしてぎゅっと抱きつく。
「物足りなくねえかな、ヤスは色々してくれんだけど、俺、ヤスに気持ちよくなってほしいからさ」
あんまり虐めるとかできないんだよなーと呟く東流に、別にいじめられたくねえからとも言えずに、唇を頬にくっつけて首を横に振る。
「……よ、、、すぎて……しにそ」
ぐったりと体を預けて漸く呟くと、東流は嬉しそうな満面の笑顔を俺に見せる。
「たまにゃ、こっちもいいかもな……」
まんざらでもない顔をする東流に、一瞬恐怖を覚えつつ、そっと宝物のような扱いで後処理を始める姿をながめながら、2年に一回くらいならありかもしれないとか思って、体を預けた。
そうすれば、ちんこピアスを再度入れる機会も増えるし、東流を泣かせてもっとエロイこともできるな。
開けた時のことを覚えてないから、余計にかもな。
まだ繋がっているような充足感に、俺はゆっくり目を閉じた。
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