オレ達の日常
79
脳みそがしびれきっていて、からだもなんだかフワフワしている。
目の前がチカチカしていて、口もしめられないしまともに言葉もでてきやしねえ。
呼吸は荒いままだし、繰り返すたびにひゅうひゅうと音が漏れる。
……どうなってんだろ……
考えることすらおっくうで、心配そうに覗き込むヤスの表情も霞んでうつる。
抱きしめたいのに、腕も動かない。
痙攣している体を、タオルか何かで拭ってくれているようだ。
「……結局、我慢できなかったのは俺のほうだったよね」
頭を撫でながら、背中をそっと撫でて落ちつかせようとしてくれているっぽい。
HPは多分0.00001くらいしかない。
ヤスも俺の返答は期待していないようで、涎まみれになっている俺の顔を拭いてくれている。
我慢できないといっても、それは、ヤスが優しいからだとは思う。
俺が欲しがれば、なんだかんだ勉強があるのにムリしてくれちまう。
ぐっと俺の下腹部を押して、まだひくつく穴から注ぎ込んだ体液を吐き出させる。
苦しいなとは思いながら、ぶぶっと音をたてて溢れさせてしまう行為に何故か俺は興奮している。
感化されてきちまったかなァ。
「トール、感じてるの?可愛いね」
覗き込む顔が嬉しそうで、なんだか俺も嬉しい気持ちになる。
今回も、ヤスに嫌な思いをさせたなと反省していた。
後悔はしていない。
ここに帰ってくるためには、最善の策をとったと思う。
俺の体は問題ないにしても、ヤスに嫌な思いをさせちまうってのは確実で、それを詫びるにはどうしたらいいかとばかり考えていた。
「すっかりトんじゃってて、エロエロな顔だよ。何回でも抱きたくなっちゃうよ」
困ったなといいながら、ふっと時計を見やって肩を竦ませる。
「でも、もう朝だし、予備校いかないと。結局徹夜しちゃったな」
俺の体をベットに寝かせると、自分は制服に着替え始める。
ああ、もう朝なのか。
時間の感覚もまったくなくなっている。
困ったな、まだ、痺れてて身動きとれねえよ。
「トール、いい子で待ってろよ。昼には、戻ってくるからさ」
ふぁさっと髪をわしゃわしゃとなでられるのが心地よくて思わず目を細めてしまう。
頷きたくても神経がどうにかなっちまってるのか、それすらできねえ。
いってらっしゃいといいたいのに、口も動かない。
もどかしさに、眉を寄せるとヤスは微笑んで俺の頬を撫でる。
「また、後でな」
ちゅっと唇にくちづけをして、軽く手を振ってカバンをもって出て行く。
早く帰ってこねえかな………。
だが、昼になっても、ヤスは帰ってこなかった。
Copyright 2005- (c) 2018 SATOSHI IKEDA All rights reserved.