オレ達の失敗 *SIDE Y

17

「ッ――グッ……っ……ウ、、グウウウ」
声を堪えてうなる東流の低い声と、じりじりと皮膚を焦がす音と、独特の焦げ臭いにおいが微かに広がっていった。
腕で押さえつけた東流の体は強張り、声を必死に耐えているのかベッドのスプリングに頭を埋め、シーツを握った手足を痙攣させている。
根性焼きよりも広い範囲、そして皮の柔らかい臀部への刺激に我慢強い東流も、背筋に脂汗が滲み出す。
「もう……ちょっとだからな」
文字が刻まれていた膚はケロイド状に焦げて、痛々しく赤く腫れ上がっていく。
何度か熱しなおしたナイフを当てるたびに、東流は海老のように背筋がびくんびくんとしなって筋肉質な太腿が震えを刻み、全身を真っ赤に染めていく。
「っ――ッ……ウウウ……ン……」
漸くゆっくりとナイフを外すと、赤黒く焦げた膚に滲みるとは思ったが化膿しないように消毒液を塗りたくった。
「―――ッ……ウウウウ」
さすがにしみる痛さに声のトーンが少し高めになっていく東流の声に、最中の嬌声を思い出してつばを呑み込んだ。
むれないように大き目の絆創膏を何枚か患部に貼って、火傷のケロイドを隠す。
やっぱり痕にはなってしまうから、病院にいかせないといけないなと考えながら、荒い息を繰り返しながら横たわる東流を、いたわるように見下ろした。
しっとりと濡れた体は情事の後のように艶かしく、筋肉が浮き上がって上下する様子が官能的に映った。
「……ンっう…っ………ハァ……ハァ……」
力の抜けた体をそっと撫でてやり、仰向けに返すと濡れた目元が不安そうな様子で康史の顔を覗き込んでくる。
心細そうな視線は、今までの東流にはありえなかったもので最初の強姦の時以来見ていない。
どこかで、まだ不安は残ったままなんだな。
「……やべえな……トールのうめき声聴いたら勃っちまった」
「ぶっ………ホント……ヤスは変態だよなァ。そうだな……イイぜ、やろうぜ」
冗談ぽい俺の言葉に、東流はどこか安堵したように目に光を取り戻し、口元に笑みを見せる。
どこか頼りなげに見えるのも、いままでにはない反応である。
「おい……怪我人に手はださないぞ、それに俺も怪我人だしうまく動けないもんよ」
ノってきた東流に思わず目を見開いて、ぶんぶんと首を横に振る。
勃起してしまったのは本当だったが、性的暴行を受けたばかりで疲れきっている相手をどうこうしようとは考えられなかった。
それに足も折れているので、いつものように動くことも難しい。
焦って断ると、東流は足を納得したように眺めて、そうだなーと呟き上体を起こすと、おもむろに康史の股間へと手を伸ばし、勃起しているペニスをスエットの上から撫で、
「……ヤス、いま俺がオマエをどうしようもなく欲しいんだ……、俺が動くからヤろうぜ。オマエがどうしたら興奮するか、教えろよ」
むんずと掴まれスエットを有無を言わせず引きおろした。
相変わらずの傍若無人さに、俺はどこかでほっとしつつ東流の欲情した目線にごくりと息をのむ。
前かがみになって、先端に唇をちゅっとくっつけてゆっくりと呑み込んでいく様子に煽られ、東流の頭を押さえつけ喉奥深くへと押し込んでいった。
「……ハァ……っん、トール……しゃぶりながら、脚開いて自分のちんこしごいて」
告げた要求に、東流は腰を浮かせて右手で自分の竿を握り、ぐちゅぐちゅと音をたてて上下に腰を揺さぶっていく。
真新しい絆創膏の下にある、己のものである証を思い、康史はそっとその尻を撫であげた。
「――ッンンン――ッううう――っ」
痛みにビクンビクンと体を震わせ、東流が手にしていたペニスが弾けて白い粘液で手元が汚れる。
「痛さでイクなんて……すごいヤラシイね……。乳首に光ってるのピアス?本当は俺が開けたかったけど、明日新しいピアス買ってつけるよ。俺のモノだからね」
ビクビクと達しているのもかまわず、乳首に光る金属を指先でいじり追い詰めていくと、ペニスを銜えていた唇の動きが緩慢になっていく。
もっと虐めて溺れさせたいという欲求が突き上げてくるのに、康史はたまらないとばかりに乳首をピアスごとひっぱった。
「………ッ――アっつううう……っヒッいいッ」
堪えきれず唇からペニスを溢して、東流は悲鳴のような声を漏らしながら、ビシャッビシャッとペニスから水っぽい体液を噴き散らした。
唇も半開きで、快感にすっかり溺れている姿にごくりと息を飲んだ。
「乳首、感じやすくなったんだね、痛みでも感じるようになった?もうぐちゃぐちゃじゃない。濡れた指、後ろに手を回していっぽん挿し込んで?切れたりしてない?」
ゆっくりと幾分躊躇いを含みながらも、言われたように腰を浮かせて腕を伸ばして尻たぶの隙間の穴へと人差し指を含ませていく。
縄で縛らなくとも、体を拘束しなくとも、自分の言葉に素直に身を任せる相手に、たまらない愛しさを感じていた。
「………ンン…あ……ヤス……っ、すげ……はずい……」
「ちゃんと見てるし、興奮してるぜ。ゆっくり、まわして入れたり出したりして」
挿し込んだ指を円を描くようにぐるりと肉壁を撫でて、抜き差しを繰り返していく。
グチッグチっと音が響き、内側がひくひくと指にまとわりついて熱を求めてくるのがわかる。
動きに合わせて、指先で乳首とピアスを同時にこね回して刺激をあたえてやる。
たまらず東流は腰を揺すると、指が深々と刺さり先走りがとろとろとベッドのシーツに滴り落ちていく。
「いやらしい音たってる、前立腺どこにあるかわかる?……トール、すげえエロイ顔してる……やべっ、、、ッ」
ビシャッと頬に生暖かいものを感じて、東流が顔を上げたとたんと俺はは自分のペニスを手にして、精を東流の顔へと放っていた。
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